喪
「やめろ!行くな!」
全身の細胞という細胞が拒否反応を示した。その場所が近づくにつれて、背中を冷たい汗がぬらす。一歩、一歩、足を踏み出すたびに呼吸が早くなり、その場にうずくまりたくなる欲求とオレは必死に闘った。
こんなになってまで、一体何故オレはそこに行こうとしているのだろう。たどり着いた先に、何があるというのだろう。いや、そんなのわかりはしない。誰も何も語ってはくれない。だが、行かなくてはならない。一人のちっぽけな人間が必死になって捜し求めている理由など、その強大な存在の前ではあまりにも無力で、矮小で、そしてみじめなんだ。
そして、オレは行った。
大学へ。
およそ二ヶ月ぶりに大学へ足を踏み入れた。いったいどうしたってんだ?なんでみんな黒い正装に身を包んでるんだ?
あ、そっか!みんなローマ法王の喪に服してるんだな!参った参った。みんな信心深いんだもんな~。オレ無信教者だからな~。まぁでも巷じゃ後継者はオレだってもっぱらのウワサらしいんだけどさ。アハハ。
じゃない。そうじゃない。愛じゃない。(イエス!)恋じゃない。(イエス!)
リクルートスーツ!略してリクスーですよ奥さん!
マジ死ぬかと思った。ってか殺されるかと思った。SPI問題集で撲殺されるかと思った。新聞の一面が
「ヒキオタブサイク、大学のロビーで死亡!死因はSPI!」になるとこだった。
もうそんくらいリクスーだらけ。あっちでリクスー、こっちでリクスー。リクスー着ない4年は死ね!みたいな雰囲気ですよ。いやだ。オレは死なない。ダブルユーと一緒に風呂入るまでは死なない。死ねない。
そんな感じで本当にパニックになりそうだったので、目的である成績表と授業案内のシラバスの獲得を達成したら即帰ろうと決めました。
ダッシュで事務室に行ってゲット。
レッツ・オープンザ・成績表!
今年取らなきゃいけない単位数、
32単位。
とりあえず外の空気吸いに、樹海に行ってきます。探さないでください。
シン